不妊治療中に救われた動画:「選択のパラドックスについて」
最近めっきり浸透してきたTED(Technology Entertainment Design)。様々な分野の人が行う講演会の様子を動画で見ることができます。
不妊治療中にこのバリー・シュワルツ氏の「選択のパラドックスについて」の動画を見て、私もある先入観にとらわれている一人だったことに気づきました。
その先入観とは、
"選択が多ければその分自由度は増し、自由度が増せばその分繁栄する。"
この考えに異議を唱えるのが、心理学者のバリー・シュワルツ氏です。
"人々の生活に選択肢を増やすことは、それらの選択肢に対する期待値を増大させることを余儀なくさせてしまいます。"
私が不妊治療専門の病院を探している時のこと。それはそれは多くの不妊治療専門の病院のホームページを見かけました。バルセロナだけでも10以上はあったと思います。どの病院に通えばいいのかすごく悩み、シュワルツ氏の言うように、私はどこかで「完璧な病院があるはずだ」と期待値を上げていました。
"そしてそれは結果がたとえ良くても、その満足度をより少なくするということを生み出します。"
不妊治療で通っていたバルセロナのB病院は自分で納得して選んだ病院。診察予約も取りやすいし、先生もプロ。ただ、不妊治療専門の病院の選択肢の中にもう一つ気に入った病院があったことで、シュワルツ氏の言うように、当時の満足度は(この動画を見て当時を振り返ると)低かったような気がします。
"人々が決断を下す時、またその決断がたとえいいものであったとしても、それに満足が得られなかったら自分自身を責めるのです。"
1回目と2回目の人工授精が残念な結果に終わったことで、「他の病院で治療していれば、うまくいっていたのかもしれない。なんで私はこの病院を選んでしまったのだろう...」と、自分で納得して選んだはずの病院なのに、他の病院を選ばなかった自分を責めていました。でもそれは、現代の選択の自由がもたらしたパラドックスであることに気づきました。選択肢が多いことは素晴らしいことです。でも、そのせいで普通だったら得られる満足度が下がり、何か悪いことが起こったら自分を責める、なんとも悪循環な世の中になったものだと思いました。
シュワルツ氏が提案していることは単純なこと、すなわち、
"選択肢を少なくする"
です。
私はこの動画を不妊治療中に見て、当時の病院選びの心境を振り返り、バルセロナのB病院を選んだ時は最善の選択をしたつもり。だったら、自分の決断を信じてB病院での治療を継続しようと思えたのでした。
そして現在、B病院で受けた体外受精のおかげで妊娠することができました。B病院の担当医を信じて治療を続けてよかったです。今思えば、自分の希望通りに診察を予約でき、待ち時間、受付の対応、先生との距離感は素晴らしいものでした。他の病院で治療を受けたことがないので比較できませんが、もしバルセロナで不妊治療を受ける方がいたら、B病院を勧めたいと思います。
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